2005年 10月 12日
クリエイトするということ
音楽を創る仕事に関わるときよく思うことがある。
当然あるときは一人で、またあるときは何人かのチームで音を創っていく。
そこには想像以上に音符や五線譜や楽典的な会話は存在しない。
むしろ皆無と言っていい。
「ここはもっと切ない展開にすべきだよ」
「雨が降っているんだよここの場面は」
「もっと独りぼっちなかんじにしてよ」
「息が白くて襟たてて独りで歩いてるんだよね、雑踏の中を」
等々・・・。

僕は幼稚園の時から高校生まで油絵を習っていた。
アサリ先生という女性の先生だった。
小学校の低学年でキリコとか模写していた。
いろんな方法論で自由に表現をすることをひたすら教えてくれた。
ただ絵的な説明や漫画的な描写をすると「つまらない」と言って諭されたことを覚えている。
「K君、君の目で見て私と後ろの壁に境界線はある?無いでしょ?だから輪郭を書いてから色を塗るのをやめなさい」
つまり最初から最後までロジックじゃなくタダひたすら絵的に色彩的に思考することを教えられた。
その後楽器もやり始めたし、大学時代は結構マジメにバンド活動もした。
でも深く深く楽器をやったり、アンサンブルを考えたりすればするほど音符が無意味だと気づく。
もっと大事なのはその手前のシーンであったり色彩であったりだと思う。
そういう意味でユーミンの「悲しいほどお天気」は素晴らしいタイトルだと思う。
そこから想像されるシーンがなんと切なく綺麗な空間であるか。
そしてそのあとに音が聞こえてくる。
僕にとってその後の音楽体感や演奏経験よりも子供の時のアサリ先生からの
絵的な発想や思考の影響の方が結果的に絶大である。
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先日LAのカワイイティーンエージャーKAIから3曲デモ音源がメールされてきた。
MacのGarageBandでハイクオリティーなグルーブでかっこいいトラックが送られてきた。
完璧にシーケンスソフトとフリー音源を使いこなして想像以上に成立していた。
秀作である。
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でも僕はKAIに返信した。
「KAI、次はストーリーとともに、長くなってもいいからドラマティックな曲を創ってごらん」

彼が気になる女の子を想う切ない気持ちで、見つめたベニスビーチの夕日を
音符という絵筆を使ってクリエイトしだしたらきっと面白くなってくると思う。
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by kkmelmo | 2005-10-12 01:22 | amusement


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